1988年11月30日に開催された第232回芸大定期演奏会の思い出の映像です。
当時、私は東京藝大大学院の独唱専攻で学んでいた学生でした。
演奏会場は当時JR五反田駅近くにあった簡易保険ホール、2000人収容の大ホールでした。
曲目はJ.S.バッハのカンタータ147番、指揮は東京藝大指揮科教授の佐藤功太郎先生。
オーケストラでの独唱はこの時が人生で2度目。
普段のピアノ伴奏での練習と違って、弦楽器や管楽器の奏でる様々な音に包まれながらの歌唱は、本当に感動的な体験でした。
古いVHSビデオテープに残っていた映像をデジタル化したので、画質、音質の悪さはご容赦を。
第1部 第3曲 アリア「おお魂よ、恥ずることなかれ」
第2部 第8曲 レチタティーヴォ「全能にして奇跡なる御手は」
今ではすっかり関西の初冬の風物詩になった、サントリー1万人の第九コンサート。
その記念すべき第1回が開催されたのは1983年。開催に当たっては、大きなホールで1万人がズレなく歌えるのか?とか、そもそも1万人も合唱メンバーが集まるのか?など
懸念も多々あったようですが、サントリー社長(当時)の佐治敬三さんが「おもろい企画や、やってみよ」とスポンサーを引き受けてくださってスタートしたとのことです。
いかにも大阪人らしいエピソードですね。
このコンサートに出演させて頂いたのは1997年12月、第15回のことでした。
指揮は山本直純先生、オケは大阪フィル、関西フィル、京都市交響楽団の巨大編成で、ソリストはソプラノ中丸三千繪さん、テノール田代誠さん、バリトン三原剛さん。
そして、何と言っても1万人の大合唱団。
これだけの規模ですから、ソリストは当然マイクを通して歌うわけですが、マイクにあまり慣れていなかった私は、リハーサルで自分の声がどれ位の響きで
会場に伝わっているのか分からず戸惑ったりもしました。
そうして迎えた本番当日。
第一部では、シューベルトのアヴェ・マリアを演奏させて頂きました。
そして第二部が第九。
1万人の合唱はそれはもう物凄い迫力で、まさに地響き。大地から声が立ち上がっているかのようでした。当時、5千人ほどのお客さんの大半も合唱に参加されていたので、合唱人数は1万人を大きく超えていたと思います。
ベートーヴェンがこの光景を見たらどんな反応をしただろうかと、ふとそんなことも考えてしまう第九演奏会でした。